500万年前に発祥した人類が地球上を移動した5万キロの旅を、逆ルートでたどる全15巻シリーズの1冊。この巻はエジプトから、エチオピア、スーダン、ケニアを通り、ゴール地点であるタンザニアのオルドバイ渓谷までの記録。探検家・医師・写真家の著者は、動力に頼らず徒歩や自転車などで移動し、大昔の人類の旅を体感する。先住の人々を訪ね、暮らしぶりを学ぶのも目的だ。同行のイスラム教徒に倣ってラマダン(断食)をしながらラクダで旅を続けるなど貴重な体験が綴られる。グレートジャーニーのロマンに読者を誘うだけでなく、国境通過の困難さなどを通して、アフリカの国々の政治・社会情勢にも触れている。カラー口絵を含む写真、地図あり。
24冊で43カ国を紹介するシリーズの1冊。エジプトの少年が、日本の子どもにエジプトについて説明する体裁をとる。カラー写真を多用して都市生活、衣食住、宗教、学校などを案内したあと、遺跡や自然、日本との関係や交流の現状、また日本の中のエジプトなどを見ていく。右から読むアラビア文字、土曜日から始まる時間割、厚い信仰心などの文化の違いや、子どもの生活に密着した情報が豊富に語られる。その他コラムとして、遊牧民、古代エジプト、結婚事情、ピラミッド観光などの話題も提供する。地理、歴史などの詳細と、現代エジプトの社会問題などは巻末にまとめられている。調べ学習向き。索引あり。
パート1「エジプトの鉄道乗車体験記」では、ナイル川に沿って走る急行列車、移動ホテルのような夜行列車「ナイルエクスプレス」、カイロとアレキサンドリアを短時間で結ぶ高速列車「ターボトレイン」の乗車体験を写真と旅行記で紹介する。観光客向け列車だけでなく、サトウキビの収穫期のみ運行する鉄道や、アレキサンドリアの路面電車、カイロの地下鉄なども登場し、市民生活を感じとることができる。ヨーロッパとアジアを結ぶ輸送ルートとしての歴史背景解説のページもある。パート2「アフリカのおもな国の鉄道」は、14カ国の鉄道事情を国別に説明。内容は歴史、特徴、主な輸送品目などに限られている。巻末に用語解説と索引あり。
地理学の普及を目的とするアメリカのナショナルジオグラフィック協会が、豊富な写真と地図を用いて1国ずつ子ども向けに解説したシリーズの1冊。地理、自然、歴史、人と文化、政治と経済という章だてで、国の様子が概観できる。本書では、国土の大半を占める砂漠の特色や、世界最長のナイル川の豊かさ、イスラム教国としての文化や、古代文明と観光国としての顔などが紹介される。翻訳のためか読みづらいところが多少あるのが残念。巻末のミニ情報で、日本に関連した情報が補ってある。
国連自然環境プログラム賞を受けた著者が、ヘリコプターや軽飛行機からの空撮写真によって、アフリカ大陸の雄大な風景や野生生物などを紹介している。砂丘やサンゴ礁といった地形の造化の妙を伝える写真もあれば、果物を売る市場や人家のトタン屋根や塩田といった人間の活動を伝える写真もある。そして平原を走るシマウマやヌー、空を飛ぶペリカンやフラミンゴといった、野生動物の姿を伝える写真も並んでいる。文章は漢字も多く子どもには難しいが、息をのむような写真を1枚1枚見ていくだけでも、アフリカ大陸の多様性や、大自然の神秘に思いをめぐらすことができるだろう。
地理学の普及を目的とするアメリカのナショナルジオグラフィック協会が、豊富な写真と地図を用いて1国ずつ子ども向けに解説したシリーズの1冊。地理、自然、歴史、人と文化、政治と経済という章だてで、国の様子が概観できる。本書では、世界最古の人類化石が発掘され、野生動物が生息し、40もの民族の多様な文化が伝わるケニアが紹介される。翻訳のためかやや読みづらいところがあるのが残念。巻末のミニ情報で、日本に関連した知識が補ってある。
世界最長のナイル川を、源流のヴィクトリア湖から、河口のナイルデルタまで7000キロにわたり、時空を越えて旅する不思議なペリカンと、読者とが一緒に下っていく趣向の絵本。川の流域にある14箇所の人々の暮らし、遺跡、自然などが、紀元前から現代まで様々な時代に焦点をあてて紹介される。各場面には、大きな判型を生かし、見開きいっぱいを使って、たくさんの人やものが描きこまれている。それらを解説したページごとの天地左右の端に書かれた文章と、絵を照応させながら読み進めると、あたかもそれぞれの時代の人々の声が聞こえてくるかのようである。各ページの絵の中から、旅先案内人のペリカンの姿を探しだすのも楽しい。
地理学の普及を目的とするアメリカのナショナルジオグラフィック協会が、豊富な写真と地図を用いて1国ずつ子ども向けに解説したシリーズの1冊。地理、自然、歴史、人と文化、政治と経済という章だてで、国の様子が概観できる。本書では、砂漠、湿地、ジャングルと特徴ある地域の文化や宗教、民族の多様性、西アフリカの巨人と称され政治的にも経済的にも重要視される現代の様子などが紹介される。翻訳のためか読みづらいところが多少あるのが残念。巻末のミニ情報で、日本に関連した情報が補ってある。
モザンビーク生まれの著名な博物学者であるライアル・ワトソンが、アフリカで過ごした子ども時代の体験を語った自伝的物語である。ズールー族の族長ジャブラから学んだ自然の中で生きるための術、いかなる時にも英知を示してくれた祖母オウマの様々なエピソードやイボイノシシのフーバーとの愛情あふれる交流など、読者も少年ワトソンと共に、アフリカの大地の神秘と鼓動を感じることができるだろう。自らを誇りをもって「アフリカ生まれのアフリカ人」と言うワトソン博士の原点は、アフリカの大自然と共生しながら、何世代にもわたり営んできた農場での暮らしにあることを教えてくれて、興味深い。
現地取材に基づいて国の全体像や人々の暮らしぶりを紹介するシリーズの1冊。アフリカ大陸の南北ほぼ中央、ギニア湾に面したところにあるカメルーンは、南部には熱帯雨林が、北部にはサバンナが広がる。首都ヤウンデのある都市部、村、海辺など、複数の地点の人々の衣食住が、豊富な写真で紹介される。ピーナッツソースやキャッサバや川魚を使った料理、家庭や学校の子どもたちのようすなど、日々の生活に密着した内容になっている。女の子のヘアスタイルや、狩猟採集民の暮らしなど、さまざまなテーマのコラムも楽しい。巻末の資料編で、歴史、基本データ、祝祭日を解説している。
ユネスコに登録されている世界遺産を、写真入りで紹介するシリーズの1冊。全体の3分の2をアフリカ大陸にあて、本文で紹介しきれなかったものは巻末にリストとして掲載。都市や建造物、奴隷貿易の拠点となった島(負の遺産)、雄大なアフリカの自然、伝統的な集落など、それぞれに興味深い。その成り立ちや歴史・文化・人々の暮らしなどをもっと知りたくなった読者のために、見開きごとに参考文献が紹介されているのが特長。読者にとって、知識を得、旅心をかきたてられるだけでなく、アフリカの自然保護や文化研究に興味を持つきっかけともなる本だ。見返しに地図あり。
現地取材に基づいて国の全体像や人々の暮らしぶりを紹介するシリーズの1冊。アフリカ大陸の南東の沖合に位置する島国マダガスカルは、世界で4番目に大きな島で、動物も植物も独自の進化をとげている。本書ではその特徴的な自然や人々の生活の様子を、多数の写真とわかりやすい文章で解説する。代表的な料理ラビントゥトゥの作り方、首都アンタナナリブの市場、学校の子どもたちなどが見開きで紹介されている。また、伝統ゲームや米を運ぶ牛車隊など、興味深いコラムも所々挿入されて、楽しく知識を深められるよう工夫してある。巻末の資料編で、歴史、基本データ、祝祭日を解説している。
現地取材に基づいて国の全体像や人々の暮らしぶりを紹介するシリーズの1冊。モロッコには首都ラバト、カサブランカ、マラケシなど古い歴史を持つ都市が多い。そんな都市に生きる家族の日常生活に加え、農耕、牧畜、漁業にたずさわる人びと、大人と子どもの「今」の暮らしと社会を、温かい言葉遣いで、バランスよく紹介している。歴史を紹介する見開きページでは、ベルベル人とアラブ人が共に暮らすこと、言語、フランスとスペインの植民地だった時代の影響にも短く触れている。モロッコという国を読者に近く感じてもらうため、日本語補習教室を取材してコラムにまとめるなどの工夫もある。巻末の資料編で、歴史、基本データ、祝祭日を解説している。