身近な衣食住を通して、ものづくりの中からアフリカ文化を理解しようというシリーズの1冊。写真やイラストなどビジュアルな要素が豊富で、楽しみながらアフリカの多様性や魅力を理解できる。この巻では、アフリカ各地の陶芸、バスケット工芸、テキスタイルづくり、染色、皮革工芸、ビーズ工芸などを取り上げ、様々な美術工芸品を紹介している。巻末にエチオピアダンスの紹介もある。
ナイジェリアの少女が、セネガルに住むいとこの質問に答えて自分の好きな遊びを選ぶという設定で、子どもの遊び10種を写真・図解を交えて紹介する。どの遊びも特別な道具がいらず、使うのは、瓶のふた、棒きれ、小石や種、ひも、あとは自分たちの身体と知恵だけ。あやとり、こままわしなど日本の遊びに似たものがあるのも興味深い。遊べる人数と遊び方の説明があり、実際に試すことができる。オケレケ・オケレケ、プ・プン・プ・オゲネなど、唱え言葉の響きも楽しく、思わず一緒に口ずさみたくなる。ナイジェリアに生まれ育った女性フォトグラファーが、アフリカの生活や文化を紹介する写真絵本シリーズの1冊。
ナイジェリアに住む少年アファムは、クリスマスを楽しみにしている。大人に負けない仮装をして「モー(精霊)」になろうと思っているからだ。早く材料を集めて仮装の準備をしたいのに、クリスマス前は支度やお手伝いで大忙し。日本とは気候も風習も全く違うナイジェリアのクリスマスを、男の子の気持ちを通して体験することができ、興味深い。サングラスをかけた子どもたちのおしゃれぶりや、特別なごちそうも紹介される。村のあちこちにはダンスグループが繰り出し、いろいろなモーが登場する。ナイジェリアに生まれ育った女性フォトグラファーが、アフリカの生活や文化を伝える写真絵本シリーズの1冊。作者自身の少女時代のわくわくした実感が伝わる。
身近な衣食住を通して、ものづくりの中からアフリカ文化を理解しようというシリーズの1冊。写真やイラストなどビジュアルな要素が豊富で、楽しみながらアフリカの多様性や魅力を理解できる。この巻では、アフリカ各地の住まいや暮らしを取り上げている。廃品を利用してつくった様々な道具が写真で紹介されていたり、アフリカ風インテリアのつくり方が紹介されているのも楽しい。
ンネカとチディは仲よし姉弟。「青がすき」という弟チディに、お姉さんのンネカは「ほかにもいろんな色があるんだよ」と教えてあげることにした。大おじさんの帽子の色の赤、願い事をする時に使うチョークの白、ヒョウタンの実を2つに割って作った器のクリーム色……。ページをめくるたびに鮮やかな色が目に飛びこんできて、楽しみながらアフリカの文化に親しむことができる。ナイジェリアに生まれ育った女性フォトグラファーが、アフリカの生活や文化を紹介する写真絵本シリーズの1冊。
遊牧民の子どもとしてケニア北部に生まれた著者が、10代の終わりにはアメリカの大学に留学し、教職を得るようになるまでを綴っている。幼少のサバンナでの暮らしぶりや学校の様子、厳しい境遇の中から援助者を見つけだすバイタリティなど、その波瀾に富んだ日々が生き生きと描かれ、とてもおもしろい。著者は西欧文化を学んでも、先祖伝来の文化を手放しはせず、ケニアの遊牧民たちが自分たちの言語、文化、伝統を守れるよう援助したり、子どもたちが教育を受けられる機会を増やすため活動している。伝統と近代の双方の世界を自在に行き来し、その掛け橋となっている著者の存在がユニークで、グローバル化が進む世界へのひとつの指針ともなる。
著名なアフリカ系アメリカ人の女性詩人と、長くアフリカで取材を続ける写真家がコラボレートした美しい写真絵本。ガーナに暮らす少年が、市場や学校、お祭りや彩色された家々などを存分に紹介するという構成になっている。いわゆる写真絵本にありがちな説明的な文章ではなく、詩人は少年になりきって、ガーナの古い言い伝えや学校に通う様子などを、ユーモラスに親しみ深く語っている。目を閉じて心を開けば、どこにだって飛んでいけるよ、とささやく少年の言葉には、どんなに遠く離れていても心が通いあい、人はつながっていけるという詩人の信念がこめられている。巻末にガーナの布ケンテや、金の腰かけの伝説についての説明がある。
身近な衣食住を通して、ものづくりの中からアフリカ文化を理解しようというシリーズの1冊。写真やイラストなどビジュアルな要素が豊富で、楽しみながらアフリカの多様性や魅力を理解できる。この巻では、アフリカ各地の食べ物を取り上げているほか、台所小物、アフリカの植物、マーケットなどが紹介されている。おいしそうな料理のレシピもたくさん載っている。
身近な衣食住を通して、ものづくりの中からアフリカ文化を理解しようというシリーズの1冊。写真やイラストなどビジュアルな要素が豊富で、楽しみながらアフリカの多様性や魅力を理解できる。この巻では、ファッション、布、アクセサリー、染色、ヘアスタイルなどを取り上げ、カンガの着方、アフリカンドレスやビーズアクセサリーのつくり方などの紹介もある。
日本の民俗学のフィールドワーカーたちが、アフリカの民話を採集してまとめた本。イラク、キクユ、フルベ、スワヒリ、ハウサ、ベルベル、マサイの人々の民話が紹介されている。各章ではまずその地で育った人が自分たちの民話の背景について語り、次にその地に語り継がれた民話が数編紹介され、各民族や民話についての解説と、フィールドワーカーたちのアフリカでの体験談が続く。アフリカの人々にとって、民話は生きていくための知恵がつまった大切なものだ。紹介される民話は、そのまま子どもに語れる体裁ではないが、その地の人々の文化やものの考え方を知る上で大変興味深い。民話集というより民俗学の本としてすすめたい。初版は1980年日曜日文庫。
アフリカ中央部のイトゥリの森に住み、今も狩猟と採集の生活をしているエフェの人々の暮らしを、人類学を専門とする著者が親しみを込めて紹介する。身体的な特徴に始まり、森の生活、子どもの1日、狩猟や採集の知恵、家族と社会など内容は多岐にわたる。驚異の方向感覚や身体能力、自然と共生するためのエコロジーなど、驚きながら学ぶことも多く、興味深く読み進められる。わかりやすい写真や図も適所に挿入されている。文明から取り残された人々といった偏見が払拭され、自然に寄り添って生きる人々への親しみと敬意が生まれ、現在の生活や未来を考える契機にもなる。アフリカの一側面を伝える本としてすすめたい。
「DはDrum(たいこ)のD」「RはRiver(川)のR」のように、AからZまでの文字で始まる言葉を通して、アフリカの暮らしや人々の様子、風習や子どもたちの遊びなどを紹介する写真絵本。アフリカというと、報道では飢饉や内戦といった面に焦点が向けられがちだが、この絵本では、伝統が息づく暮らしぶりや、家族のあたたかい絆や、伝統を伝えるおばあさんや長老の役割など、豊かな文化に焦点を当てているので、子どもたちが見て、読んで、楽しく味わえる。ナイジェリアに生まれ育った女性フォトグラファーが、アフリカの生活や文化を紹介する写真絵本シリーズの1冊。
エメカは、ナイジェリア南部のイバジ村に住むイガラ人の男の子。隣村のおばあちゃんの家にいく途中で出会ったものを通して、10までの数と、イガラ人の暮らしを写真で綴った物語絵本。こまや水がめ、イシャカ(ヒョウタンで作った楽器)などが使われる様子だけでもおもしろいが、さりげなく説明がもりこまれた文章を読むと、1ページ1ページじっくり見たくなる。人々の肌の色、顔かたち、服装、家や風景など、外見は日本とまったく違っているが、最後のおばあちゃんの言葉で、人間の思いは世界共通という実感がわいてくる。ナイジェリアに生まれ育った女性フォトグラファーが、アフリカの生活や文化を紹介する写真絵本シリーズの1冊。
自然と人間の関係を民俗学的なアプローチから研究している著者が、エチオピアのコンソに何度も通い、人々の暮らしの中に入って、見聞きしたこと、感じたことを記している。山の頂上にあって要塞のように外壁でかこった小さな村に、2000人あまりの人が住むという超過密ぶりに圧倒される。人々の物見高さ(好奇心の強さ)や、なんでも手づくりし、くるくるとよく働く様子、しっかりとした金銭感覚にも驚かされる。著者の価値観がコンソの人々との暮らしの中で通用せず、理不尽に思ったり、してやられたと思ったりしながらも、日本人である自分とはどういうものなのかを考え、コンソの人の知恵を考察していくさまがおもしろい。
広大で気候風土の変化に富んだアフリカ大陸には、習慣や伝統の異なった何百という民族の人々が住んでいる。その中のAからZまでの頭文字をいだく26民族をそれぞれ1枚の絵と文章で紹介する絵本。画家は民族の衣装や主な仕事、家の様子などの生活環境、土地の様子や動物などの自然環境まで、細かに描きこみながらも1枚の絵に見事にまとめあげ、本書で1977年度コールデコット賞を受賞。簡潔な文章と力強い絵が、多様なアフリカ文化の豊かさと誇り高く生きる人々の姿を強く印象づける。巻末には、紹介されている民族がどのあたりに住んでいるのかを示す地図を掲載。
ケニアの北西部にあるエンザロ村では、かまど(ジコ)と草履(パティパティ)が生活の中にいかされている。これはケニアの村人の生活を改善するために働く日本人女性岸田袈裟さんが、故郷遠野に昔から伝わる知恵をヒントにして、エンザロ村の人々に広めたものである。かまどや草履がなぜ必要になったのか、どのようにして現地で定着し、利益をもたらしているのかを、村の人たちの住まいや食事、暮らしぶりを紹介しながらわかりやすく解説している。著者、画家ともに実際に現地を訪れて描いているため、細部まで描写が正確で、日本人の目から見た驚きや発見が随所にもりこまれている。金銭や物品を贈るだけではない海外援助のあり方を考えさせられ、開発教育の好材料にもなるだろう。
初版は月刊「たくさんのふしぎ」2004年2月号。「アフリカ子どもの本プロジェクト」発足の出発点となった1冊である。
世界の国々の伝統的なお菓子を紹介するシリーズの1冊。アフリカ大陸からは、エジプトのマームール(クッキー)、チュニジアのコルヌ・ドゥ・ガゼル(焼き菓子)、モロッコのアーモンド・ミルク(ドリンク)、ケニアのマンダジ(揚げパン)が、おいしそうな写真つきで取り上げられている。イラスト入りのレシピもあるので、実際につくってみることができる。「もっと知りたい」ページやコラムでは、そのお菓子の背景にある各地域の風土や食文化が紹介されている。情報量は多くないが、あまり知られていないお菓子を通したアフリカの一面を発見できて楽しい。巻末に調理用語の説明と索引あり。
自然界の精霊や祖先の霊を崇拝し、祈りを捧げた人々の生み出す仮面や人形、道具などの、なんとユニークで力強いことか。アフリカのみならず世界でつくられてきたプリミティブアート作品を、写真と解説で紹介している。1つずつ作品が紹介され、つくられたものたちが語り手となって、踊りやまじないや語り部の神秘的な世界を伝えてくれる。読者もイマジネーションをふくらませ、プリミティブアートの世界を楽しく学ぶことができる。
ギニア共和国生まれの著者が自分の子ども時代(8歳頃)について書いたもの。父が1人、母が3人、兄弟が20人の大家族。年長者、とりわけ祖父ベンバの暖かく包み込むような存在感が印象的だ。動物の世話や家の手伝いをし、家族や友だちと共に自然の中で元気いっぱいに暮らす様子が描かれている。その中で、人間が自然や他の生きものたちに生かされているということや、その命の繋がりの大切さを大人たちがわかっていて、きちんと子どもたちに伝えている。1958年にフランスから独立した時代背景もわかる。子どもの目線から生き生きと書かれていて読みやすく、挿絵も雰囲気をよく伝えている。初版は1993年で、のちに文庫に収録された。
著者が30年以上前に初めて降り立ったアフリカはナイジェリア。以来何度も訪れるアフリカで、文化や音楽に触れ、人々が抱えるたくさんの問題に目を向けてきた。アフリカの絵本や児童書の翻訳にも力を入れ、仲間と「アフリカ子どもの本プロジェクト」を立ち上げて、ケニアに図書館をつくるにいたった年月を語る。アフリカの人々の様子、本に見入る子どもたち、そしてアフリカの大地の魅力がいきいきと描き出され、いつのまにかアフリカが大好きになってしまう。岸田袈裟さんの〈エンザロ村のかまど〉がケニアの村々に広まったことで生活が改善され、布ぞうりはHIVの予防にもなった。このように生活に結びついた支援がもっと増えたら、なにかが変ってくるのではないだろうか。絵はプロジェクトの仲間でもあった沢田としきの最後の仕事になった。